どちらもできるけど2-ブテンの方が多い
アルコールを分子内脱水するとアルケンが生成されます。その仕組みについては下の記事を参照してください。
アルコールを硫酸で分子内脱水するとアルケンができる仕組み2-ブタノールを脱水すると、2パターンのアルケンが考えられます。それは2-ブテンと1-ブテンです。実際に脱水すると、2-ブテンが82%、1-ブテンが18%の割合で生成されます。
なぜ2-ブテンの方が多い?
アルケンの二重結合C=Cを形成しているπ結合の軌道は、隣り合うC-H結合のσ結合と重なり合います。重なった部分では電子が相互移動し非局在化します。非局在化できた方が分子全体はより安定することができます。
下画像はC=C結合のイメージ図です。画像には描かれていませんが、π結合(下画像青色)は隣接するC-H結合と重なり合うことができます。
1-ブテンでは二重結合とπ結合が重なることができるC-H結合の σ結合 は2つですが、2-ブテンでは6つの σ結合 と重なり合うことができます。その結果、電子が相互移動が多くできる2-ブテンは1-ブテンよりも安定でき、生成される量も多くなります。
二重結合が真ん中にあった方がなんとなく安定してそうだよね。