コロイドは正か負かの電荷に帯電しており、コロイド粒子同士が反発し合うことで凝集できない状態にあります。
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コロイドが生成される仕組みについては下の記事を見てね
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ここに電解質を加えると、コロイド粒子に反対符号の電荷が吸着され、電気的な反発が中和されて沈殿(凝析)するようになります。
例えば、水酸化鉄Fe(OH)3にNaClを加えると、水酸化鉄は正コロイドなのでCl–が吸着します。
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すると、Cl–により正コロイド同士の反発力が小さくなり、お互いが分子間力で引き合って沈殿します。
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Cl–よりも負電荷が大きいSO42-を含む電解質の方が少量で凝析させることができるよ。
凝析は疎水コロイドに対して、塩析は親水コロイドに対して使われます。
疎水コロイドとは水との親和性が弱く、粒子の電気的な反発力によって沈殿が免れているコロイドです。一方、親水コロイドとは水分子が多量に吸着して粒子の集合を妨げて沈殿が免れているコロイドです。
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疎水コロイドは少量の電解質で沈殿しますが、塩析は水分子をコロイド粒子から剥がすために多量の電解質が必要です。そのため、それぞれ凝析、塩析と名前が異なっています。
疎水コロイド | 親水コロイド | |
成分 | 金属、硫黄、水酸化鉄(Ⅲ)、水酸化アルミニウム(Ⅲ) | セッケン、デンプン、寒天、ゼラチン、タンパク質 |
特色 | 粒子の電荷の反発力で沈殿しない | 水和水の粒子が集合を妨げて沈殿しない |
凝析・塩析 | 少量の電解質で沈殿(凝析) | 多量の電解質で沈殿(塩析) |
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塩析は凝析の1つなので、参考書によっては全部「凝析」でまとめられていることもあるよ。