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ある種の金属イオンを含む水溶液に硫化水素を通じると沈殿が生じることがあります。また、その沈殿の発生は水溶液の液性(中性・酸性・塩基性)によって左右されることがあります。生じた沈殿(硫化物)は黒色が多いですが、ZnS(白色)、CdS(黄色)、MnS(淡赤色)などの例外があります。これらは覚える必要があります。
Ag+ →Ag2S(黒色)
Pb2+ → PbS(黒色)
Cu2+ → CuS(黒色)
Hg2+ → HgS(黒色)
Cd2+ → CdS(黄色)
Zn2+ → ZnS(白色)
Fe3+ → FeS(黒色)
H2S(還元剤)によってFe3+はFe2+となるため、生成される硫化物はFeSとなります。
2Fe3+ + H2S → 2Fe2+ + S + 2H+
Fe2+ → FeS(黒色)
Ni2+ → NiS(黒色)
Mn2+ → MnS(淡赤色)
Al3+ → Al2S3 → Al(OH)3(白色)
硫化物イオンとアルミニウムイオンが反応して硫化アルミニウムになりますが、これが水分子と反応して水酸化アルミニウムとなります。
Al2S3 + 6H2O → 2Al(OH)3 + 3H2S
Li、Ca2+、Na+、Sr2+、K+、Ba2+の金属イオンは沈殿を生じない。これらのイオンの有無は炎色反応によって確認できます。
金属のイオン化傾向に沿って覚えると理解しやすいです。下表ではPt、Auは沈殿しないため除いてあります。
沈殿しない
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酸性では沈殿しない
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いつでも沈殿
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K | Ca | Na | Mg |
Al
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Mn
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Zn
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Fe
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Ni
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Cd
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Sn
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Pb
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Cu
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Hg
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Ag
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–
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–
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–
|
–
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Al(OH)3
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MnS
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ZnS
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FeS
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NiS
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CdS
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SnS
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PbS
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CuS
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HgS
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Ag2S
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