非金属の単体と化合物

ケイ素単体と化合物

ケイ素 Si

性質

光沢がある硬い共有結合性の結晶である。半導体の材料として用いられる。100%ケイ素は絶縁体であり、そこに他の元素を混ぜて作られる。

ケイ素

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半導体とは?

電気伝導性の良い金属などの導体(良導体)と電気抵抗率の大きい絶縁体の中間的な抵抗率をもつ物質を言う。

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二酸化ケイ素 SiO2

性質

石英、水晶、ケイ砂として産出する。硬く融点の高い共有結合性の結晶である。

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NaOHやNa2CO3と共に融解する。NaOHやNa2CO3どちらもアルカリ性であるため、酸性酸化物と塩基の反応として理解することができる。

SiO2 → 2NaOH → Na2SiO3 + H2O

SiO2 + Na2CO3→ Na2SiO3 + CO2

ケイ酸 H2SiO3

性質

ケイ酸を加熱して乾燥させるとシリカゲル(乾燥剤)が生成される。

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製造

水ガラス(Na2SiO3 aq)に塩酸を加えると、白色のケイ酸H2SiO3が生成される。これは弱酸の遊離反応である。

Na2SiO3 + 2HCl → H2SiO3 + 2NaCl

炭素と化合物

炭素単体 C

炭素の単体としてはダイヤモンド黒鉛があり、無定形炭素としてフラーレン(C60)(下画像)、カーボンナノチューブなどもある。

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ダイヤモンド

無色透明で、共有結合性の八面体結晶である。極めて硬く、融点が高久、屈折率が大きい。

ダイヤ

黒鉛

黒色不透明で板状結晶である。板と板の間では自由電子が動くことができ、電気伝導性がある。柔らかく、鉛筆に使われる。

一酸化炭素 CO

性質

無色、無臭で水に溶けにくい有毒な気体である。可燃性であり、淡青色の炎を出す。

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製法

蟻酸に濃硫酸を加えて加熱し、脱水させることで得られる。

HCOOH ⇔ H2O + CO

二酸化炭素 CO2

性質

無色、無臭の気体である。赤外線を吸収するため、温室効果ガスとして気温を上昇させる。水に溶けると炭酸を生じる。

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石灰水(水酸化カルシウム水溶液)に通すとCaCO3を生じて白濁するため、二酸化炭素検出方法として用いられる。この反応は、塩基と酸性酸化物との反応である。

Ca(OH)2 + CO2 → CaCO3 + H2O

製法

炭酸塩に塩酸を加えると生じる。この反応は弱酸の遊離反応である。

CaCO3 + 2HCl → CaCl2 + H2O + CO2

工業的製法としては石灰石を熱分解する方法がある。

CaCO3 → CaO + CO2

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硫黄の化合物

硫黄の化合物

硫黄の代表的な化合物には、二酸化硫黄SO2、三酸化硫黄SO3、硫酸H2SO4、硫化水素H2Sなどがある。硫黄原子は様々な酸化数を取ることができる。H2Sは酸化数をこれ以上減らすこと(還元すること)はできないので、相手を還元する還元剤として働く。一方、H2SO4はこれ以上酸化数を増やすこと(酸化すること)ができないので、相手を酸化する酸化剤として働く。

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二酸化硫黄SO2

無色の刺激臭のある有毒な気体である。水に良く溶けて、亜硫酸H2SO3を生成する。還元作用があり、漂白作用がある(還元剤として働く)。H2Sに対しては酸化剤として働く

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三酸化硫黄SO3

三酸化硫黄は水に溶かすと硫酸となるため大量に工業生産されている。酸性雨の原因にもなっている。

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硫酸H2SO4

硫酸には濃硫酸希硫酸の2種類があり性質が異なる。濃硫酸は質量パーセント濃度が90%以上、希硫酸は質量パーセント濃度が90%未満の硫酸水溶液を指す。

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濃硫酸の性質

無色の重い気体で、水を入れることで激しく発熱する。吸湿性が高い。また、脱水作用があり、様々な物質からHとOを2:1の割合で奪い取る。

 

熱濃硫酸は酸化作用が強く、Cuなどとは酸化剤として反応し、SO2を生成する。

 

希硫酸の性質

弱酸性の液体で、多くの金属を溶かしてH2を発生させる。硫酸塩の多くは水に溶ける。しかし、CaSO4、SrSO4、BaSO4、PbSO4は水に難溶である。

 

硫酸の製法

SO2とO2を反応させて(触媒は五酸化バナジウムV2O5)、SO3を生成する。SO3を濃硫酸に吸収させて発煙硫酸(濃硫酸にSO3を過剰に吸収させたもの)とする。

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発煙硫酸に希硫酸を加えて、SO3と希硫酸中の水分子を反応させて濃硫酸とする。この方法を接触法と呼ぶ。

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硫化水素H2S

無色で、腐卵臭の有毒な気体である。以下のような性質がある。

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①水溶液は弱酸性を示す。

H2S→2H + S2-

②可燃性である。

H2S + O2 → H2O + SO2

還元剤として用いられる。

H2S + I2 → S + 2HI (Sの酸化数が-2から0に増えている=自身は酸化している)。

④多くの金属イオンと反応し、硫化物を生成する。

Pb2+ + H2S → PbS(黒) + 2H+

Cu2+ + H2S → CuS(黒) + 2H+

硫化水素の製法

硫化鉄(Ⅱ)FeSに希硫酸を加えて生成する。FeSは弱酸H2Sと塩基Fe(OH)2の塩である。そのため、H2Sよりも酸性が強い希硫酸を加えると、より強い酸と塩(FeSO4)を形成し、弱酸が遊離する。

FeS + H2SO4 → FeSO4 + H2S

希硫酸がない場合は塩酸でも良い。

 

硫黄の単体

硫黄の単体

硫黄の単体には斜方硫黄、単斜硫黄、ゴム状硫黄の3種類がある。火山帯で産出される他、石油の精製時に得られる。燃やすと青色の炎を上げて燃焼し、SO2を生成する。

硫黄

高温では金属と反応し、硫化物を生成する。

斜方硫黄

性質

黄色の塊状結晶である。

斜方硫黄


環状分子S8
によって構成されている。

S8

二硫化炭素CS2に溶ける。CS2は無色で揮発性の液体であり、主にセロハンやレーヨンの製造過程で溶剤として利用されている。

CS2

単斜硫黄

性質

黄色の針状結晶である。

単斜硫黄


環状分子S8
によって構成されている。斜方もS8分子によって構成されているが、温度によって安定する構造が異なるため違いが生じる。また、二硫化炭素CS2に溶ける。

ゴム状硫黄

性質

褐色のゴム状固体である。純度が高ければ黄色のものが得られる(高専生が発見した)。

ゴム状硫黄


鎖状分子Sx
によって構成されている。

ゴム状硫黄

二硫化炭素に溶けない。斜方硫黄、単斜硫黄はS8分子の集合なので、それらがバラバラになって溶けることができるが、ゴム状硫黄はS原子同士がしっかりと共有結合によって結ばれており、溶けることはできない。

酸化物

酸化物の種類

酸化物には、酸性酸化物、塩基性酸化物、両性酸化物の3種類がある。酸素原子が何の元素(非金属、金属、両性金属)と結合するかによって分類される。画像は酸化鉄(塩基性酸化物)。

酸化物

酸性酸化物

非金属元素と酸素の化合物である。CO2、NO2、P4O10、SO2、SO3などがある。

P4O10

性質

酸性酸化物は水と反応してオキソ酸を生じる。

炭酸

また、塩基とも反応することができる。

CO2BaOH2

オキソ酸

分子の中にO原子を含む酸をオキソ酸と呼ぶ。HNO3やH2SO4などがある。

オキソ酸

塩基性酸化物

金属元素と酸素の化合物である。 Li2O、Na2O(下画像)、MgO、CaOなどがある。

Na2O

性質

水と反応して塩基を生じる。

塩基性酸化物

また酸とも反応することができる。

塩基性酸化物

両性酸化物

両性元素(アルミニウム、亜鉛、スズ、鉛)と酸の化合物である。Al2O3(下画像)、ZnOなどがある。

AlO3

性質

酸とも塩基とも反応することができる。 

両性酸化物

酸素の単体

酸素の単体

酸素の単体として、酸素O2、オゾンO3がある。 

酸素

酸素O2

性質

無色、無臭の気体である。空気中の21%を占める。水に溶けにくく、燃焼によって酸化物を生じる。

用途

酸素吸入として医療用に用いられる他、金属の溶接・切断のの際に酸素アセチレン炎として利用される。酸素アセチレン炎とは、アセチレンと酸素を適当な比率で混合して燃焼した炎で、最高温度は 3000~4000℃に達する。

製法

H2O2の分解によって生じる。触媒にはMnO2を使う。

2H2O2 → 2H2O + O2

塩素酸カリウムKClO3の加熱分解によって生じる。触媒にはMnO2を使う。塩素酸カリウムは、有機物、硫黄、木炭、リンなどと不注意に混ぜると爆発することがあるため注意。

KClO3 → 2KCl + 3O2

オゾンO3

性質

淡青色で、特異臭の気体である(下画像は液体オゾン)。不安定で分解しやすく、有毒である。地球上にはオゾン層として成層圏に存在している。酸化作用が強く、ヨウ化カリウムデンプン紙を青変させる。

オゾン

用途

飲料水の殺菌、繊維の漂白に用いられる。

オゾン

製法

酸素に紫外線を当てることによって生じる(成層圏)。

オゾン層

酸素中で無声放電することによって生じる。

無声放電(むせいほうでん、Dielectric barrier discharge:英語版)とは、一定の間隔をおいた平板の片方、もしくは両方の電極を絶縁体(誘電体)で覆い、交流電圧をかけた場合におこる放電のことである。 誘電体バリア放電ともいう。 電極が絶縁体で覆われているため電極に電荷が流れ込むことができず、大きな電流が流れない。 そのため火花放電やコロナ放電のように放電時に音がせず、そのため無声放電と呼ばれる。 放電部分は空気中では紫がかった光を発する。
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ハロゲン化水素

ハロゲン化水素

無色で刺激臭の気体である。HCl(塩酸)などが代表例であるが、 水によく溶けて酸性を示す。

ハロゲン化水素

フッ化水素HF

水溶液はフッ化水素酸と呼ばれる。ガラスを腐食する作用があり、ガラスの加工に用いられる。

6HF + SiO2 → H2SiF6 + 2H2O

塩化水素HCl

水溶液は塩酸と呼ばれ、強酸性である。気体はNH3と直接反応して白煙(NH4Cl)を生成する。

製法

NaClに濃塩酸を加える。揮発性が高い塩酸HClが遊離し、NaHSO4が生成される。

臭化水素HBr

水に溶けやすく、水溶液は強酸性である。

臭化水素

ヨウ化水素HI 

水に溶けやすく、水溶液は強酸性である。 

臭化水素

ハロゲン

ハロゲンの性質

ハロゲン(17族)の元素、F、Cl、Br、I、Atは次の性質を持つ元素である。

①二原子分子の構造を持つ単体は有毒である。

ハロゲン

②原子番号が大きいものほど融点が・沸点が高い。

分子間力によって分子結晶を形成するため、原子の大きさが大きいほど、分子間力も大きくなり、融点・沸点も高くなる。

ヨウ素

③酸化作用を示す。

ハロゲンは相手から電子を奪う力が非常に強い。電子殻の空きが1つであるため、電子を引き寄せて安定しようとする力が強いと考えてよい。酸化力は原子番号が小さいほど大きい。これは、原子番号が小さいほど電子殻が原子核のより近くにあり、陽子(+)からの引力が強いためである。

ハロゲン

フッ素 F2

淡黄色、刺激臭の気体で有毒である。反応性が極めて高く、冷暗所で水素と爆発的に反応する。また、水と反応としてフッ化水素HFと酸素を生成する。フッ化水素はガラスを侵食する際に利用される。

塩素 Cl2

黄緑色、刺激臭の気体で有毒である。水に少し溶けて、次亜塩素酸HClOを生じる。次亜塩素酸は酸化作用が強く、殺菌や漂白剤として用いられる。また、ヨウ化カリウムデンプン紙を青変させる。

ヨウ化カリウムデンプン紙とは

ヨウ化カリウムデンプン紙とは、酸化剤の有無の検証に使われる試験紙である。酸化剤(電子をもぎ取る物質)に出会うと、2I- →I2+2eの反応が起こり、その後、I2がヨウ素デンプン反応を起こして青色に変化する。

ヨウ化カリウムでんぷん紙

臭素 Br2

赤褐色の重い液体で有毒である。赤褐色、刺激臭の蒸気を生じる。

ヨウ素 I

黒紫色で光沢のある結晶である。昇華し(液体にならずに固体から直接気体になる)、紫色の蒸気を生成する。

ヨウ化カリウム水溶液にI3-として溶け、ヨウ素ヨウ化カリウム水溶液(ヨウ素液)となる。通常は水に溶けにくい。また、デンプンと反応し、ヨウ素デンプン反応を起こして紫色になる。 

希ガス

希ガスの性質

希ガス(18族)の元素、He、Ne、Ar、Kr、Xe、Rnは次の性質を持つ。

①空気中に少量含まれている。

少量といっても、空気中のArの量はCO2より遥かに多い。

希ガス割合

②常温、常圧で無色・無臭の気体である。

下の画像はヘリウムが入った風船。

ヘリウム

③極めて安定した電子配置をし、単原子分子として存在している。

単原子分子とは、原子1つで存在できる原子を指す。分子と名前が付けられているが、分子は原子2つ以上によって構成されている物質のことなので、厳密に言えば分子ではない。「単原子」と「分子」を分けて考えるのではなく、「単原子分子」として覚えよう。

He

④ 不燃性である。

安定しているため、白熱電球内に封入されたり、食品袋に封入されることもあった。

⑤低圧下の放電で、特有な発色を示す。 

ネオンサインなどに利用されている。

希ガス
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ヘリウム He

水素の次に軽い気体である。そのため、気球などに利用される。また、沸点が4Kのため、冷却材として用いられる。

アルゴン Ar 

空気中に1%含まれる気体である。蛍光灯や白熱電球に封入される。これは、蛍光管内を真空にするよりも、低圧のガスを封入した方が放電しやすくなるためである。また、金属溶接時の酸化防止としても利用される。

水素の化合物

非金属元素と水素の化合物

非金属元素と水素化合物は常温・常圧で気体のものが多いが、液体(H2Oなど)のものもある。

H2S
硫化水素H2Sの気体http://blog.livedoor.jp/

H-(水素化物イオン)を含む化合物

水素化リチウムLiH、水素化ナトリウムNaH、水素化カルシウムCaH2などは、水素原子がH(水素化物イオン)となり、イオン結合し、イオン結晶となる。このような性質が水素原子が一族であるのにも関わらず、金属に分類されない由縁である。

NaH