ベンゼンスルホン酸ナトリウムと水酸化ナトリウムの反応
NaOHの融解液にベンゼンスルホン酸ナトリウムC6H5SO3Naを融解させながら反応させるとナトリウムフェノキシドC6H5ONaが生成されます。この反応機構を見ていきましょう。
まず、スルホ基-SO3–は強い電子吸引性を持っています。これはSに結合しているOが電気陰性度が高く、Sが正電荷を持つためです。その結果、ベンゼン環の電子がSに向かって流入し、ベンゼン環の電子密度が小さくなります。
するとOH–がベンゼン環に近づきやすくなります。またスルホ基の結合した炭素原子の電子密度が小さくなっていることから、ここを狙ってOH–が激しく攻撃します。その結果、OH–が結合し、亜硫酸イオンSO32-が脱離します。
この反応によってフェノールC6H5OH(弱酸)が生成されますが、過剰なNaOHによって直ちに中和されてナトリウムフェノキシドが生成されます。
全体の反応をまとめると次の化学反応式になります。
C6H5SO3Na + 2NaOH → C6H5ONa + Na2SO3 + H2O
さらに、このナトリウムフェノキシドを水溶液にしてから酸を加えると、弱酸の遊離反応でフェノールが得られるよ。この一連の反応はフェノールを作るときに使われるよ。