クロロベンゼンと水酸化ナトリウムの反応
オートクレーブ(耐圧容器)にクロロベンゼンと10%水酸化ナトリウム水溶液を入れ、加圧して300℃で熱するとナトリウムフェノキシドが生成されます。この反応機構を見ていきましょう。
クロロベンゼンは沸点が低く(132℃)、高温にすると蒸発してしまうため、加圧できる装置が必要です。
ベンゼン環に結合しているClは電気陰性度が高いため、ベンゼン環の電子がClに吸引され、ベンゼン環の電子密度が小さくなります。
するとClが結合した炭素原子の電子密度が小さくなり、ここを狙ってOH–が激しく攻撃します。その結果、OH–が結合し、塩化物イオンCl–が脱離します。
この反応によってフェノールC6H5OH(弱酸)が生成されますが、過剰なNaOHによって直ちに中和されてナトリウムフェノキシドが生成されます。
全体の反応をまとめると次の化学反応式になります。
C6H5Cl + 2NaOH → C6H5ONa + NaCl + H2O
さらに、このナトリウムフェノキシド水溶液に酸を加えると、弱酸の遊離反応でフェノールが得られるよ。この一連の反応はフェノールを作るときに使われるよ。