ベンゼンと硫酸が反応する仕組み
ベンゼンに濃硫酸を加えて80℃に加熱するとベンゼンスルホン酸C6H5SO3Hが生成されます。スルホン基-SO3Hが結合するこの反応をスルホン化と呼びます。
反応機構を見ていきましょう。
まず硫酸同士が反応します。硫酸が放出したH+が他の硫酸に配位結合します。
その結果、H2Oが脱離し、Sがプラスに帯電したスルホニウムイオンSO3H+が生じます。
スルホニウムイオンのHがさらに電離し、Sがプラスに帯電しながらOがマイナスに帯電している状態になります。
SO3のプラスに帯電しているSはベンゼン環を攻撃し、ベンゼン環の二重結合が開裂してSO3と結合を形成します。その結果、電子を奪われたベンゼン環のC原子がプラスに帯電します。
HがH+として脱離し、ベンゼン環が復活します。脱離したH+はSO3–と結合し、-SO3Hスルホン基となり、反応が終わります。
ベンゼンとの反応では、まずは硫酸が陽イオン化しなければならないのがポイントだね。