チオ硫酸ナトリウム Na2S2O3 は塩酸(強酸)とも塩素(酸化剤)とも反応する物質
実験書などを見ると、高度さらし粉と塩酸の反応を止めるのにチオ硫酸ナトリウムNa2S2O3が使用されます。
チオ硫酸ナトリウムはチオ硫酸イオンS2O3 2-とナトリウムイオンNa+がイオン結合してできた塩です。チオ硫酸イオンはチオ硫酸(弱酸)由来のイオンです。
チオ硫酸ナトリウムと塩酸の反応
チオ硫酸ナトリウムは塩酸とは次のような反応をします。
Na2S2O3 + 2HCl −→ 2NaCl + S + SO2 + H2O
塩酸(強酸)と出会うと、弱酸であるチオ硫酸が電離し、チオ硫酸H2S2O3が遊離します。チオ硫酸は非常に分解されやすい物質で、すぐにSとSO2とH2Oになります。
弱酸の遊離反応だね。
チオ硫酸ナトリウムと塩素の反応
さらにチオ硫酸ナトリウムは還元剤として働くため、塩素Cl2(酸化剤)と反応します。
Na2S2O3 + 4Cl2 + 5H2O → 2NaCl + 2H2SO4 + 6HCl
よって、高度さらし粉と塩酸が反応している中にチオ硫酸ナトリウムを加えると、塩酸を除去して反応が止まるばかりか、溶液中の塩素Cl2も消費することができます。
高度さらし粉と塩酸の反応を止めるのにはチオ硫酸ナトリウムは最適ということですね。