乳酸の光学異性体
炭素原子Cが4種の異なる原子または原子団と結合したものを不斉炭素原子と呼びます。不正炭素原子を持つ物質には、鏡でお互いを写したかのような異性体が存在し、これを光学異性体と呼びます。
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乳酸は、不正炭素原子にHとCOOHとOHとCH3が結合した物質です。
上画像の左の配置をL型、右の配置をD型と呼びます。
D型・L型の命名法
どちらがDかLかは、d-グリセルアルデヒド(下画像) の立体配置を基準として決定されます。この構造を崩さないで構成されているものがD型です。HとOHが逆転しているものがL型です。
乳酸の場合、アルデヒド基-CHOが酸化して-COOHに、またCH2OHはCH3由来のものであると考えます。
施行性(光を回転させる性質)でdとlが決定する
光学異性体は、原子の結合状態は全く同じなので、化学的な性質は全く変わりません。しかし、光学的性質のみが異なっています。
光学異性体に、一方向のみに振動するようにした光(偏光)を通すと、偏光面が左右いずれかに回転します。偏光面が右側に回転する性質を右施性(d)、左側に回転する性質を左施性(l)と呼びます。乳酸にもd-乳酸、l-乳酸が存在します。
乳酸の場合ではD-乳酸がl-乳酸であり、L乳酸はd-乳酸になっています。D・Lは単に立体配置を示しているのみで、d・lとは一致しないこともあります(一致することもあります…)。
立体配置 | 施行性 |
D-乳酸 | l-乳酸 |
L-乳酸 | d-乳酸 |
ものすごくややこしいのですが、DとLは立体配置を示しているだけで、施行性を示してるわけではないのです。ネットでも勘違いの書き込みが多いです。
L乳酸とD乳酸とDL乳酸とありますがL乳酸液D乳酸液DL乳酸液は購入できますか
購入できるかどうかはわかりません!