どのようにして反応が起こるの?
一部のケトンや一部のアルデヒドや一部のアルコールは塩基性の水溶液中でヨウ素I2と反応してヨードホルムCHI3を生じます。これをヨードホルム反応と呼びます。なぜこのような反応が起こるのでしょうか。
CH3COCH3 + 3I2 + 4NaOH → CHI3↓ + CH3COONa + 3NaI + 3H2O
ケトンのヨードホルム反応
アセトンを例にしてヨードホルム反応の仕組みを見ていきましょう。
まず、塩基性下ではH+とI+との状態で置換反応が起こります。
続いて、カルボニル基(C=O)のCがOに電子を引き寄せられて+に帯電します。そこにNaOH由来のOH-が攻撃し、共有結合を形成します。
その結果、CI3–が脱離し、 CI3– は溶液中からH+を受け取りヨードホルムCHI3となります。右半分は酢酸酸イオンとなり反応は終了します。
NaOHは始めのヨウ素の置換反応の際に生じる3HIを中和する反応と、カルボニル基に結合する反応に使用されるので、計4個が必要です。
HIとの中和反応
CH3COR + 3I2 → CI3COR + 3HI
3HI + 3NaOH → 3NaI + 3H2O
CI3CORとの反応
CI3COR + NaOH → CHI3 + CH3COONa
アルデヒドのヨードホルム反応
CH3CO-の構造を持てばヨードホルム反応は起こるため、アセトアルデヒドCH3COHでも反応は起こります。
他のアルデヒドでは反応しません。
CH3CHO + 3I2 + 4NaOH → CHI3↓ + HCOONa + 3NaI + 3H2O
まず、ケトンと同様に塩基性下ではH+とI+との状態で置換反応が起こります。
続いて、カルボニル基(C=O)のCがOに電子を引き寄せられて+に帯電します。そこにNaOH由来のOH-が攻撃し、共有結合を形成します。
その結果、CI3–が脱離し、溶液中からH+を受け取りヨードホルムCHI3となります。右半分はギ酸イオンとなり反応は終了します。
反応機構はケトンと全く同じだね
アルコールのヨードホルム反応反応
CH3CH(OH)-の構造を持つアルコールはヨードホルム反応が起こります。具体的にはエタノール、2-プロパノール、2-ブタノールなんかがそれにあたります。
第一級アルコールは酸化(脱水素)されるとアルデヒドになるんでしたね。ヨウ素I2は酸化剤として働くので、アルコールとヨウ素と混ぜるとアルデヒドになってしまいます。
また、第二級アルコールは酸化されるとケトンになります。ヨウ素I2は酸化剤として働くので、2-プロパノールや2-ブタノールはケトンになり、ヨードホルム反応を示します。
下はエタノールC2H5OHの例です。酸化されるとアセトアルデヒドになりますよ。
CH3CH2OH + 2NaOH +I2 → CH3CHO + 2NaI + 2H2O
※NaOHはHIと中和反応する際に使われます。
すると、生成されたアルデヒドはさらにヨウ素と反応し、ヨードホルムを生成します。
CH3CHO + 3I2 + 4NaOH → CHI3↓ + HCOONa + 3NaI + 3H2O
図は省略しますが、アルデヒドの内容と全く同じです。
エタノールのヨードホルム反応をまとめると次のような式になります。
CH3CH2OH + 6NaOH + 4I2 → CHI3↓ + HCOONa + 5NaI + 5H2O
アルコールを酸化するのに使用したヨウ素I2と、その中和に使用されたNaOHが増えていますね。