硫化アンモニウムは水溶液中では100%下のように電離しています。
(NH4)2S → 2NH4+ + S2-
また水も僅かに電離しています。
H2O ⇔ H+ + OH–
それぞれのイオンが水と下のように反応します。
S2- + H+ ⇔ HS–
2NH4+ + 2OH– ⇔ 2NH3 + 2H2O
これらの反応がどちらも同じだけ起これば中性なりますが、実際にはNH4+とOH–の反応よりもS2-とH+との反応が起こりやすいです。その結果、水溶液中のOH–の濃度が高くなります。
水溶液中のイメージ (ラインを引いたイオンが僅かに多い)
S2- + H+ ⇔ HS–
2NH4+ + 2OH– ⇔ 2NH3 + 2H2O
よって、水溶液は塩基性になります。
S2-もNH4+もどちらも弱酸・弱塩基由来のイオンだから水との加水分解でH+とOH–とは結合しやすいよ。だけど、同じ「弱」でもさらに結合しやすさの差があるんだね!