強塩基性でないと反応しないから
セルロースはテトラアンミン銅イオン(Ⅱ)と錯体を形成しますが、この反応は強塩基性条件下ではなければ起こりません。というのも、セルロースが錯体を形成するためには、ヒドロキシ基がイオン化する必要があるためです(強塩基性下ではセルロースのヒドロキシ基は非常に弱い酸として働きます)。
そのため、硫酸銅CuSO4に濃アンモニアを加えた水溶液では塩基性が足りません。そのため、水酸化銅Cu(OH)2に濃アンモニアを加えます。すると、テトラアンミン銅(Ⅱ)水酸化物の水溶液が生成されます。この水溶液は強塩基性です。
Cu(OH)2 + 4NH3 → [Cu(NH3)4](OH)2
強塩基性であり、テトラアンミン銅イオンが存在するため、セルロースは錯体を形成して溶けることができるようになります。