弱酸の遊離反応が起こるから
炭酸水素ナトリウムNaHCO3をカルボン酸に加えると炭酸が生成され、炭酸は分解して二酸化炭素と水となります。
NaHCO3 + CH3COOH → CH3COONa + CO2 + H2O
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なぜこの反応が起こるのかを解説します。
炭酸水素ナトリウムNaHCO3 は水溶液中ではナトリウムイオンNa+と炭酸水素イオンHCO3–に電離しています。
NaHCO3 → Na+ + HCO3–
そこにカルボン酸が加えられるとカルボン酸も電離します。今回は酢酸で考えてみましょう。
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カルボン酸も弱酸ですが、炭酸よりも強い酸です。
カルボン酸 > 炭酸
炭酸はとてつもなく弱い酸(電離度が低い酸)なので、イオンの状態でいるよりも分子の状態でいた方が安定します。そのため、炭酸水素イオンHCO3–は水素イオンH+を受け取って炭酸となります。その後、炭酸は分解されて二酸化炭素と水になります。
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このように、弱酸の塩と、それよりも強い酸が出会った時に弱酸が遊離する現象を弱酸の遊離と呼びます。
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ちなみに酸の強さは次のような順番になっています。
塩酸、硫酸(スルホン酸)、硝酸>安息香酸、カルボン酸>炭酸>フェノール