アルカリセルロースと二硫化炭素が反応する仕組み
二硫化炭素は両端のS原子の方が電気陰性度が高いため、Cの電子は両方向に引っ張られています。引っ張る方向が正反対のため、全体としては無極性ですが、部分的にはCが+、Sが-の極性を帯びています。
その結果、二硫化炭素はアルカリセルロースの-O–Na+に引き寄せられて結合を再構成します。
R-OC(=S)SHの構造を持つ物質はキサントゲン酸と呼ばれ、酸としての性質を示します。セルロースのキサントゲン酸なのでセルロースキサントゲン酸ナトリウムと呼びます。
このセルロースキサントゲン酸ナトリウム(ゼリー状物質)を希水酸化ナトリウム水溶液に溶かしたものをビスコースと呼びます。
二硫化炭素が反応するためには、セルロースのヒドロキシ基がマイナスに帯電する必要があります。通常のセルロースでは-OHは殆ど電離していないので、水酸化ナトリウムと中和反応させて、-O–にするのです。