「塩化アルミニウム」には2つの物質が存在する
一言で「塩化アルミニウム」といっても、実は2つの物質があります。
えっ!?そうなん!?
金属と酸の反応で生成される塩化アルミニウムは、実は塩化アルミニウム水和物[Al(H2O)6]Cl3のことを指します。これはヘキサアクアアルミニウムイオン [Al(H2O)6] 3+と3つの塩化物イオンCl–のイオン結合性の物質です。
高校化学では、この物質を略して塩化アルミニウムAlCl3として表記しています。
騙されていた気分だぜ…。
一方、本当の塩化アルミニウムAlCl3は非常に危険な物質です。AlCl3は共有結合性の物質であり、Alはオクテット則を満たしていないため非常に反応性が高いです。水とも激しく反応し、塩化水素を発生します。
AlCl3 + 3H2O → Al(OH)3 + 3HCl
高校化学ではAlCl3は、ベンゼンにハロゲン化アルキルを置換させる時に利用されます。例えば塩化エチレンCH3CH2ClとAlCl3の反応では、[AlCl4]–の錯イオンと CH3CH2+ を生成します。
CH3CH2Cl + AlCl3 → CH3CH2+ + [AlCl4]–
CH3CH2+ はベンゼン環と反応しアルキル化させます。