ギ酸ができる仕組み
ギ酸HCOOHは水酸化ナトリウムNaOHと一酸化炭素COと希硫酸で生成することができます。
NaOH + CO → HCOONa →H2SO4で弱酸の遊離→ HCOOH
反応機構を見ていきましょう。
まず、一酸化炭素のC=O結合は電気陰性度によってCがプラスを帯びています。そこのOH–が攻撃し結合します。またC=O結合が開裂し、Oは完全にマイナスに帯電してNa+とイオン結合を形成します。
一酸化炭素の電子式が特殊なので、電子の動きが想像しにくいですね。上の図の電子式バージョンを作りました。Cの電子が足りていないことがわかります。
この状態では炭素は安定しないので、H+が放出されてCはOと二重結合を結びます。さらにH+は炭素の非共有電子対に転移します。これにより、ギ酸ナトリウムが生成されます。
ギ酸ナトリウムに希硫酸H2SO4を加えると、弱酸の遊離によってギ酸が遊離します。
弱酸の遊離ってけっこう便利な反応ですよね。
弱酸は電離度が低いため、イオンの状態よりも分子の状態が安定しています。例えばHCOONaはHCOO–とNa+のイオン結合でできていますが、HCOO–は「何とかしてHCOOHに戻りたい!!」という状態なのです。
そのため、弱酸の塩に強酸を加えると、弱酸イオンがH+をゲットして酸分子に戻ってしまいます。これを弱酸の遊離と言います。
HCOONa + H2SO4 → HCOOH + Na2SO4