マレイン酸は-COOHの距離が近い
マレイン酸とフマル酸は幾何異性体で-COOHの結合する部位が異なります。この部位の違いによって脱水の起こりやすさの違いが生じます。
マレイン酸は-COOHがお互いに近い所にあるため、水分子を形成しやすく、160℃で過熱すると脱水されて無水物(無水マレイン酸)が生じます。
一方、フマル酸は-COOH同士が離れたところにあるため、脱水反応は起こりません。加熱を続けると200℃で昇華してしまいます。これがフマル酸が無水化物にならない理由です。
しかし、フマル酸も減圧して230℃以上で熱すると、構造が変化して無水マレイン酸になることが知られています。