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ベンゼンと硝酸が反応してニトロベンゼンが生成される仕組み-濃硫酸の役割とは?-

ベンゼンには陽イオンしか近づけない

ベンゼン濃硫酸H2SO4濃硝酸HNO3の混合物を加えると、ニトロベンゼンが生成されます。これを置換反応と呼びます(濃硫酸は触媒として働きます)。

C6H6 + HNO3 → C6H5NO2 + H2O

ベンゼンは置換反応を行いますが、ベンゼン環はπ電子雲(下画像右)で包まれているため、陰イオンは近づくことはできません。ベンゼンの置換反応は陽イオンが近づくことによって起こります。

陽イオンしか近づけないから、触媒を用いて硝酸を陽イオン化しなきゃいけないんだ…。

反応機構

反応機構は次の通りです。まず、濃硫酸と濃硝酸が反応します。硫酸のH+HNO3のOに配位結合し、その結果、Oがプラスに帯電します。

これは硫酸が硝酸よりも酸としての力が強いため、硝酸がH+を受け取るという特別なケース。

次に、Oがプラスに帯電しているのでO-NO2間の電子がO側に取られ、結合が切れてH2Oが脱離します。その結果、NO2+が生成されます。

次にNO2+は陽イオンなのでベンゼンに近づくことができ、中間体を形成します。これによってベンゼン環のCが電子不足になります。

さらにHSO4がH+を引き抜いて硫酸が生成されます。その結果、ベンゼン環が復活し、ニトロベンゼンが生成されます。

最終的に硫酸が生成されるので、硫酸の量は変化しません。そのため、この反応では硫酸は触媒としての役割を持っています。

濃硫酸の役割とは?

まとめると、濃硫酸の役割は硝酸と反応してNO2+を生成させることです。陽イオンでなければベンゼン環に近づくことができないため、濃硫酸が必要なんですね。

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