硫化鉛PbSが生じる仕組み
タンパク質を水酸化ナトリウムを加えて熱し、酢酸で中和後、酢酸鉛を加えると黒色の硫化鉛PbSの沈殿が生じます。これはタンパク質に含まれるシステインやメチオニンなどから硫黄イオンS2-が生じ、Pb2+と反応して沈殿を生じるために起こります。
システインから硫黄イオンが生じる仕組みを見てみましょう。
システインの側鎖は、C原子の電子がS原子に引き寄せられている状態にあります。そのため、NaOHと共に加熱するとOH–がCを攻撃し、SH–が脱離します。
SH–は酸なので、周囲のNaOHと中和反応し、S2-を生じます。 S2- はPb2+とイオン結合し、不溶性の塩PbSを生じます。
NaOHによってSH–を脱離させてやるんだね。