ニトロ基がベンゼン環の電子を吸引しているから
そもそもフェノールが酸性なのは、フェノールのOの電子がベンゼン環に流れ込むことによってOが電子不足を起こし、Hから電子を奪ってH+が電離しやすくなるからでしたね。
ピクリン酸(2,4,6-トリニトロフェノール)はニトロ基が3つ結合した物質で、ニトロ基は電子吸引性の性質を持っています。これはニトロ基のNがOに電子を吸引され、Nが電子不足に陥っているためです。
その結果、ベンゼン環からNに電子が流れ込むようになり、ベンゼン環の電子密度が小さくなります。そして、-OHからベンゼン環へさらに電子が流入するようになり、H+が電離しやすくなって酸性が強くなります。
ピクリン酸はTNTよりも爆発力が大きいヤバい物質だよ。
楽しく拝見させていただきました.よろしければ教えていただけないでしょうか.ニトロ爆弾よりもピクリン酸の爆発力が大きいとのことですが,生成熱(J/mol)のことなのでしょうか.ピクリン酸を購入すると薬品瓶に粉末状で入っていますが,どうなると危険なのでしょうか.金属のエッチングで(ピクラールとして)しばしば使用するものなので,お聞きした次第でございます.何卒よろしくお願い申し上げます.
コメントありがとうございます!
ピクリン酸は発火点が322℃、TNTは475℃とピクリン酸の方が発火点が低く危険なようです。しかし、爆発によって生じる熱量はピクリン酸810kcal/kg、TNT1010kcal/kgとTNTの方が熱量多めでした。発火点が低いので急激な爆発が一気に起こるという点で危険なのかもしれませんね(その結果、爆風速はピクリン酸の方が速いようです)。
ピクリン酸は燃焼・衝撃・摩擦によって爆発することがあるようです。乾燥を避けて保存と書かれています。どうぞお気をつけて!