遷移元素の単体と化合物

銅と化合物

銅 Cu

赤味を帯びた銅色の金属で、展性・延性に富んでいる。熱・電気を良く通し、電気ケーブル等に利用されている。

https://ja.wikipedia.org/

イオン化傾向が低く、酸とは反応しない。しかし、酸化剤としての硝酸、熱濃硫酸には溶ける。

 

銅の合金

合金として青銅(CuとSn)、黄銅(CuとZn 別名真鍮 下画像)が身近に利用されている。

銅の製法

黄銅鉱CuFeS2を酸素で還元し、硫化銅(Ⅰ)Cu2Sとする。

黄銅鉱

http://www.ne.jp/

硫化銅

http://tttmetalpowder.com/

さらに還元し、粗銅Cuを得る。粗銅は純度99%の銅を指し、鉄やニッケルなどが僅かに含まれている。

http://big5.made-in-china.com/

粗銅を陽極、純銅(99.99%)を陰極にして、硫酸銅(Ⅱ)水溶液の中で電気分解を行う。すると、陽極の粗銅がイオン化して溶け出し、陰極では銅イオンが電子を受け取って純銅に付着していく。この過程を電気製錬と呼ぶ。

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酸化銅(Ⅱ)CuO

黒色の粉末で、塩基性酸化物である。塩基性酸化物なので、酸と中和反応が起こる。

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酸化銅の製法

銅Cuを加熱することで酸化銅CuO(Ⅱ)が得られる。

2Cu + O2 → 2CuO

1040℃以上で加熱すると酸化銅(Ⅰ)Cu2Oが得られる。空気中で徐々に酸化されて酸化銅(Ⅱ)になる。Cuは1価のイオンにもなれるが、2価のイオンの方が安定している。

http://www.eonet.ne.jp/

硫酸銅CuSO4

青色が綺麗な結晶として有名である。青色のものは五水和物のみである。

http://www.kabegami.com/

無水塩の利用

燃焼すると、H2Oが抜けて無水塩(水分子が抜けた硫酸銅)になると白色になる。そのため、無水塩は水の検出に利用されている。

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鉄イオンと様々な試薬の反応

鉄イオンと様々な試薬の反応

鉄イオン(Fe2+、Fe3+)は、OH、K4〔Fe(CN)6〕、K3〔Fe(CN)6〕、KSCN(チオシアン酸カリウム)などと反応して特有の色や沈殿を生じる。

OH- K4〔Fe(CN)6 K3〔Fe(CN)6 KSCN
Fe2+(淡緑色) Fe(OH)2

緑白色沈殿

Fe2 [Fe(CN)6]

青白色沈殿

Fe3[Fe(CN)6]2

濃青色沈殿

(ターンブルブルー)

反応なし
Fe3+(黄褐色) Fe(OH)3

赤褐色沈殿

Fe4[Fe(CN)6]3

濃青色(紺青)沈殿

Fe[Fe(CN)6]

暗褐色水溶液

Fe3++nSCN→[Fe(SCN)n]-(n-3)

血赤色水溶液

Fe2+との反応

Fe2+とOH→Fe(OH)2

http://chemijajums.emokykla.lt/

Fe2+とK4〔Fe(CN)6〕→Fe2 [Fe(CN)6]

 

Fe2+とK3〔Fe(CN)6〕→Fe3[Fe(CN)6]2

 

Fe3+との反応

Fe3+とOH→Fe(OH)3

http://monitoringsrodowiska.bloog.pl/

Fe3+とK4〔Fe(CN)6〕→Fe4[Fe(CN)6]3

http://monitoringsrodowiska.bloog.pl/

Fe3+とK3〔Fe(CN)6〕→Fe[Fe(CN)6]

 

Fe3+とKSCN→[Fe(SCN)n]-(n-3)

http://chemistryexperimentphotogallery.blogspot.jp/

鉄と化合物

鉄の性質

塩酸や希硫酸に溶けるが、濃硫酸・濃硝酸には不動態を形成してい溶けない(作り方が悪ければ溶ける)。

 

銑鉄 FeとC

酸化鉄を還元して得られる鉄で、炭素を4%ほど含んでいる。酸化鉄を還元する際には、炭素を入れて、酸素原子と結合させ、二酸化炭素として取り除く。銑鉄に含まれる炭素はその過程の残りである。

http://jitakuchemistry.blog.jp/

鋼 Fe&C

銑鉄から炭素を取り除き含有炭素を0.02~2%にした鉄。粘り強く鋼材として利用される。

http://nakai-stma.co.jp/

四酸化鉄 Fe3O4

黒色の結晶で、磁鉄鉱の主成分である。磁鉄鉱は強い磁性を持っていることで有名で、天然の磁石として知られている。

https://sites.google.com/

鉄部品の被膜処理して四酸化鉄として、腐食を防いだりする。

http://www.ymzcorp.co.jp/

酸化鉄(Ⅲ)Fe2O3

赤褐色の結晶で、赤鉄鉱の主成分である。還元されて鉄が生成される。

http://dp18017030.lolipop.jp/

http://www.kyoto-be.ne.jp/

硫酸鉄(Ⅱ)FeSO4

結晶は淡緑色で、七水和物である。水に溶けて淡緑色(Fe2+の色)の液体となる。硫酸に鉄を溶かすと得られる。

http://sciencemadness.wikia.com/

塩化鉄(Ⅲ)FeCl3

結晶は黄褐色で、六水和物である。水に溶けると黄褐色(Fe3+の色)の液体となる。塩酸に鉄を溶かすと得られる。

http://sciencemadness.wikia.com/

ヘキサシアニド鉄(Ⅱ)酸カリウム K4〔Fe(CN)6

黄色の結晶であり、無毒な物質である。食塩の固結防止添加物として使用されており、水溶液は淡黄色である。

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ヘキサシアニド鉄(Ⅲ)酸カリウム K3〔Fe(CN)6

結晶は暗赤色であるが、水溶液は黄色である。光に影響される性質を活用し、写真の作成に利用されてきた。

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遷移元素と錯イオン

遷移元素とは

周期表の3~11族に位置する元素を遷移元素と呼ぶ。1・2属の典型元素から、12属の典型元素へと移り変わる間の元素との意味で「遷移」元素と名付けられた。次の性質を持っている。

  1. 全て金属元素である。
  2. 全て融点が高い。
  3. 殆どが重金属であり、密度が高い。
  4. 最外殻電子は1または2である。
  5. 酸化数は一定の値ではなく複数。
  6. 錯イオンをつくる。
  7. 有色の物質が多い。
  8. 触媒としてよく用いられる。

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錯イオン

金属イオンを中心として分子などが配位結合して形成されるさらに大きなイオンを錯イオン(さくいおん)と呼ぶ。遷移元素は錯イオンを形成しやすく、代表的なものとして次のような種類がある。

  1. ジアンミン銀(Ⅰ)イオン
  2. テトラアンミン銅(Ⅱ)イオン
  3. テトラアクア銅(Ⅱ)イオン
  4. テトラアンミン亜鉛(Ⅱ)イオン
  5. テトラヒドロキシド亜鉛(Ⅱ)酸イオン
  6. ヘキサシアニド鉄(Ⅱ)酸イオン
  7. ヘキサシアニド鉄(Ⅲ)酸イオン

水溶液の色と錯イオンの形

錯イオンには特有の形があり、また色がある。

ジアンミン銀(Ⅰ)イオン [Ag(NH3)2]+ 無色 直線形
テトラアンミン銅(Ⅱ)イオン [Cu(NH3)4]2+ 深青色 正方形
テトラアクア銅(Ⅱ)イオン [Cu(H2O)4]2+ 青色 正方形
テトラアンミン亜鉛(Ⅱ)イオン [Zn(NH3)4]2+ 無色 正四面体
テトラヒドロキシド亜鉛(Ⅱ)酸イオン [Zn(OH)4]2- 無色 正四面体
ヘキサシアニド鉄(Ⅱ)酸イオン [Fe(CN)6]4- 淡黄色 正八面体
ヘキサシアニド鉄(Ⅲ)酸イオン [Fe(CN)6]3- 黄色 正八面体

錯イオンの色

色が着いている代表的は以下の通りである。

左がテトラアクア銅イオン。右がテトラアンミン銅イオンである。

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ヘキサシアニド鉄(Ⅱ)酸イオン

http://zen.shinshu-u.ac.jp/

ヘキサシアニド鉄(Ⅲ)酸イオン

https://www.youtube.com/

錯イオンの形

直線形、正方形、正四面体、正八面体がある。

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配位子

錯イオンを形成する分子を配位子と呼ぶ。配位子は、非金属電子対を持ち、金属結合と配位結合を生じる。配位結合とは、配位子から一方的に金属イオンに電子が供給されることによって生じる結合である。

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錯イオンの書き方

次のような書き方が定められている。

中心金属元素の名称陰性配位子(+陽性配位子+中性配位子)〕価数

例:[Cu(NH3)4]2+

錯イオンの命名法

配位子の数配位子の種類中心金属元素の名称[酸化数)+(陰イオンならば「酸」)で命名する。

例:テトラヒドロキシド亜鉛(Ⅱ)イオン

①配位子の数を示す。

1から順に名称が定まっている。

  1. モノ
  2. トリ
  3. テトラ
  4. ペンタ
  5. ヘキサ
  6. ヘプタ
  7. オクタ
  8. ノナ
  9. デカ

②配位子の種類を示す。

  • NH3:アンミン
  • H2O:アクア
  • OH:ヒドロキシド(ヒドロキソ)
  • CN:シアニド
  • S2O3:チオスルファト

③中心金属元素の名称を示し、酸化数を示す。

様々な遷移元素の名称が入る。Ag(Ⅰ)、Cu(Ⅱ)、Zn(Ⅱ)、Fe(Ⅱ)、Fe(Ⅲ)…。酸化数は大体1か2であるが、それぞれ覚えておく必要がある。

④陰イオンならば酸とつける。

例えば、ヘキサシアニド鉄(Ⅱ)酸イオンは、普通は金属とイオン結合して塩として存在している。K4[Fe(CN)6]などである。

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そもそも、塩というのは酸と塩基の中和反応によって生成される物質であるため、K4[Fe(CN)6]の場合にも基になった酸と塩基があると考えられる。塩基は、KOHであり、酸はH4[Fe(CN)6]である。陰イオンの錯イオンは、H+との結合によって酸となるため、○○酸イオンと呼ばれる。