ナトリウムフェノキシドと二酸化炭素の反応
フェノールと水酸化ナトリウムの塩であるナトリウムフェノキシドと二酸化炭素を高温・高圧で反応させるとサリチル酸ナトリウムが生成されます。さらに希硫酸で弱酸の遊離を起こさせるとサリチル酸を得ることができます。
ナトリウムフェノキシドと二酸化炭素の反応はどのようにして起こるのでしょうか。
二酸化炭素は分子全体は無極性ですが、部分的にはCが陽性を帯びています。そのため、ベンゼン環には求電子置換反応(電子を奪って置換する反応)を起こします。
ベンゼン環から脱離したH+は、より弱い酸のイオンであるフェノキシドイオン-O–に受け取られます。一方、Na+はカルボン酸イオン-COO-が受け取ります(分子内で弱酸の遊離反応が起こります)。こうしてサリチル酸ナトリウムが生成されます。
これに希硫酸を加えると、サリチル酸(弱酸)が遊離するよ。
CO2の置換反応はフェノールでは起こらないため、ナトリウムフェノキシドが使用されます。Cは陽性がそこまで大きくないので、フェノールのOHをフェノキシドイオンO-にすることで、ベンゼン環の電子密度を高め、置換反応が起こりやすいようにします。